ほたるいかとは

ホタルイカツツイカ目ホタルイカモドキ科

学名 Watacenia sintillans
英名 Firefly Squid

ホタルイカは全身が青白く光る、多くの謎につつまれた神秘的な生き物です。
春に生まれて1年でその一生を終えます。日本海を中心にわが国周辺の海に分布しており、ふだんは水深200~600mもの深いところに棲んでいます。
春になると産卵のため富山湾の岸近くまで集まってきますが、漁で見られる群れをなしたホタルイカが海面に放つ光は、宝石のように美しいものです。

ほたるいかの名前の由来

名付け親は「ホタル博士」

その昔、ほたるいかは地元で「まついか」と呼ばれていました。その名が「ホタルイカ」になったのは、明治38年、東京大学教授の渡瀬庄三郎博士の命名によるものでした。
そもそも博士は、ホタルがどのような地域に棲んでいるかを調査しているときに、富山県に光を放つイカがいると聞き研究をはじめ、ホタルのように美しい発光をするイカであることから「ホタルイカ」と名付けたのです。
その後、ほたるいかの学名は博士の名前にちなみ「Watacenia sintillans(ワタセニア・シンティランス)」と命名されました。

ほたるいかの発光

とても明るいのに熱くない、ふしぎな「冷光」

ほたるいかの発光は、発光物質(ルシフェリン)に発光酵素(ルシフェラーゼ)が作用することによって起こります。
この光は熱をもたないため「冷光」と呼ばれています。

これは昆虫のホタルの発光と同じしくみですが、発光物質や発光酵素の構造はいくぶん異なっています。
その全容は現在でもまだまだ謎が多く、研究が進められています。

ほたるいかが光る3つの理由

光で身を守る ほたるいかの腕発光器は刺激を与えたり驚かせると簡単に発光します。
ほたるいかは暗い海中で外敵に襲われたときなど光を発することで相手を驚かせたり、目くらまし効果を狙った行動のひとつといわれています。
光で身を隠す ほたるいかは海中ではからだを水平にしているので、昼間は上から降ってくる太陽光に反応して腹側にある発光器から光を出します。
光が強すぎるとかえって目立ってしまうし、光が弱いとシルエットになり反対に敵に見つかりやすい。
つまり、光を上手に調節して敵からわが身を守っていると考えられています。
光で会話する 同じ発光器をもつイカの仲間でも、それぞれの発光器の数や配列、種類の組み合わせなどは微妙に違います。
ほたるいかの眼は青、水色、緑の3種の色を識別でき、同じ仲間同士やオスとメスとの間で合図を送ったり、集団で行動したりすることができると考えられています。

滑川とほたるいか観光の歴史

1585年 滑川市とホタルイカの関わりは古く、天正13年(1585年)頃にはすでに漁獲された記録が残っています。
1912年 明治45年に訪れた浜田恒之助富山県知事より観光事業を行うことが勧められ、滑川におけるホタルイカ観光事業がスタートしました。
1961年 昭和36年頃には、3隻の観光遊覧船が夜の海に出ており、また、ホタルイカ関連の加工食品の試作も始まっています。
1987年 滑川市観光協会による観光は昭和62年に現在の早朝海上遊覧方式になり、
1989年 平成元年には漁民センターでの陸上観光も始まりました。
1996年 ほたるいかは、平成8年に富山県のさかなに指定されました。
1998年 そして平成10年、ほたるいかミュージアムが完成しました。

ほたるいかが富山湾に集まる理由

ほたるいかの大群の発光が見られるのは日本中で滑川近くの富山湾に限られています。

日中は沖合の200m~400mという深海に棲み、夜間に海面近く、しかも陸近くまで上がってくるのは産卵や餌生物を追うためといわれています。

富山湾で毎年3月~5月頃を中心にこのほたるいかの集群が見られるのは、富山湾のすり鉢のような地形と海流の関係(すり鉢状の底から上に向かって流れる湧昇流)で岸近くまで押されるためといわれています。

その妖しいまでに美しい群遊海面は国の天然記念物に指定されています。

ほたるいかの寿命はほぼ1年。孵化するまでに必要な時間は富山湾の場合だいたい2週間程度、その後成長をつづけ、翌年2月頃には交接シーズンを迎え、再び4~5月頃に産卵し、その一生を終えると考えられています。

ほたるいかミュージアム館内には、「ホタルイカの生態」についてもっとくわしく楽しく学べる展示がいっぱい!神秘の生物「ホタルイカ」の知識を、体験しながら増やしていけます。

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